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逆引き!甲冑解説~何て言うの?でもう悩まない!~

マニアックな趣味はある程度予備知識付けてからでないと入りにくい…とよく聞きますが、興味持ち始めた初心者さんやお仕事で甲冑を導入しようと検討されてる方に向けて、我々提供者がもっとわかりやすく寄り添えたら言語化できない要望や思いを引き出すお手伝いできないかなと考えました。

実際に打合せの場で伺ったワードをもとにした「何ていう?」からはじまる逆引き用語解説です。

逆引き(2稿)

⓪「よろいの編んであるトコ」・「よろいの編み方」=甲冑は確かに糸でつないでますが、編むのではなく威す(おどす)と言います。言葉の音だけ聞くとなんか物騒ですが、その語源は「緒(=糸)をとおす」からの→「おとおす」→「おどす」となりました。威し方はザックリ2種類!素掛威(すがけおどし)と毛引威(けびきおどし)です。毛引威は店主の大好物です。

素掛威(すがけおどし)

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毛引威(けびきおどし)

鎧 南北朝

①「カブト・あたまの」=兜(かぶと)意外といろんな形があります。節句飾りなどでおなじみの定番のイメージは筋兜(すじかぶと)扇形の鉄板を矧ぎ合わせて鉢の形に成型した兜で、矧ぎ合わせで出来る筋と筋の間をまさに「間(けん)」と呼び、その生じた間の数を「間数(けんすう)」といいます。この間数が八間・十六間・三十二間…と数字が上がるほど筋も多くなります。室町時代から江戸時代まで幅広い時代で使われたので、色んな時代のいろんな武将に使いたい人にはマストアイテム。※弊店の兜は実際の矧ぎ合わせの工法ではなく矧ぎ合わせ風の筋を付けている物になります。その点はご了承ください。

 戦国時代になると頭形兜といったシンプルな形から桃形(ももなり)兜・烏帽子形(えぼしなり)兜等鉢の形にバリエーションが増えたり、全体的に造形が奇抜でオンリーワンなデザインの「変わり兜」も数多く登場します。弊店では過去に変わり兜のレプリカも何度か製作しておりますが、造形や使われている素材がヘンテk…否、奇抜すぎる物は、製造前の下調べや試作だけでも大変高価になるため「それも含めて予算!」と了承して頂ける例のみお受けしております。

 兜は基本的には、A・頭を入れる部分の鉢+B・首回りを覆うシコロ+C・顔の両脇にある吹き返しの3点で構成されてます。鉢の形、シコロの威し方や段数、吹き返しの形の組み合わせだけでも十分個性は出せます。また、吹き返しは戦国時代以降は付いてない例も多い【例えば作例画像の越中頭形は吹き返しなしです。】ので
「吹き返しは無しで!」
というオーダーが来ると「お…通ですね、お客様…。」と店主がそっと微笑みます。(作らなくていい。)

筋兜

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頭形兜(越中頭形)

時代物工房 一助朋月の甲冑 販売中の鎧兜 越中頭形兜

桃形兜

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変わり兜(富士山形兜)

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②「かぶとのかざり=「立物(たてもの)」といいます。画像のように正面にあるものは「前立て(まえたて)」と言い、立物の中でも一番ポピュラーなスタイルです。

前立て以外の立物のスタイルと言えば、
てっぺんに付く「頭立て(とうたて)」
両サイドに付く「脇立て(わきだて)」
後ろに付く「後立て(うしろだて)」があります。

それぞれ立物が付く位置に、それらの差し込み口である「角元(つのもと」が兜にあります。角元は、立物の形や見栄えのする位置、また重さや支えるバランスに合わせて形状も絶妙に調整しています。(例えば、一本角元が良いのか二本角元がいいのかとか、角元の長さとか、差し込みは凹がいいのか凸が良いのか等々)

なので、立物と角元は一対で調整し合って誂える物です。他を付け替えが容易に出来る物ではないのはご留意ください。詳しくはこちらもご参照くださいね。

前立て (日輪)

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頭立て(一之谷)

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頭立て(山鳥尾羽)

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脇立て (飛雲)

脇立て(大天衝)

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後立て(三ツ鍬形)

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さて、この立物何のために掲げるのかというと、

・「我ここにあり」という存在アピール。自分のトレードマーク

…はもちろんの事、自分の信条や信仰を表し掲げる事も多いのです。信仰する神仏のモチーフだったり梵字や神号など。これは自分の頭に掲げる事で「神仏の加護のもと正義は我にあり」「神仏の化身として戦う」という呪いと戦う正当性や人智を越えたカリスマ性を示す現れなのかな~と。

昨今はどうも「役柄というかキャラクター表示的に前立てがその武将の家紋」を…という例が大変多いのですが…実は店主ひっそり
(いや~そりゃ分かりやすいねんけど…安ちょk…イヤなんかこう、もう一捻り欲しいなあ…)
と思っちゃったりします。もう一捻りは一緒にたくらみますので良かったらご相談くださいね。

2021年12月1日よりフルオーダーの内容によってはデザイン・試作・お見積り料を頂きます。

平素よりご愛顧誠にありがとうございます。

 さて、表題の通り2021年12月1日より、フルオーダーやセミオーダーのアレンジでデザイン画の提示や試作が必要な案件に関しましてはデザイン・試作・お見積り料金を頂戴いたします。

導入の経緯

今までは全て製作料に含めておりましたが、昨今お客様より広く・深く様々な御要望の製作を求められることが増えました。ありがたい状況に心より感謝申し上げます。

 ご納得いただけるデザイン画の作成や、実物の構造が着用・使用に耐えられる物かの試作チェック、その為だけの資料や材料サンプルの取り寄せなどの実務や材料費などのコストが本番の製作並みに掛かることがあり、また詳細なデザイン画付きの見積りを上げても未成約に終わって徒労となる事も今までに多々あり、製作料とは別にデザイン料・試作製作料・お見積り代を設ける事にいたしました。

費用につきまして

どのような案件に、どれぐらい加算されるのかはケースバイケースです。(税抜き3000円~場合によっては1万円以上も…)都度お打ち合わせやメールでのお問合せの中で事前にご説明させて頂きます。

今までとの変更点

・見積り時に製作料とは別にデザイン料・試作製作料・お見積り代の項目が必要に応じて発生いたします。

本製作の契約に至らずに終わった場合デザイン料・試作製作料・お見積り代が発生している項目についてはご請求させて頂きます。(デザイン買取もご相談に応じます。)

・フルオーダーメイドプラン(60万円・70万円コース)にはデザイン提示1回は込みですが、デザインのリテイクや試作については追加料金が発生する場合がございます。

どうぞよろしくお願いいたします。

こちらのページもご覧ください。フルオーダーのご案内

店主敬白

 

【フルオーダー品】脇坂安治公 置手拭兜と具足

賤ヶ岳七本槍にも名を連ねた戦国武将・脇坂安治公に御縁ある地よりご依頼頂きました、脇坂安治公の具足をモデルにした一式を紹介いたします。

 胴と籠手・脛当ては龍野歴史文化資料館に現存する具足をモデルにアレンジし、兜は個人蔵の脇坂安治公所有と伝わる置手拭形(雑賀鉢)兜をモデルに製作致しました。

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脇坂安治公のお祭りに使われるとのことで、華やかさを重視しました。

雑賀鉢はシンプルでワイルドな意匠が多いのですが、脇坂安治公所有と伝わる置手拭形兜は春田派の作らしく、古風で優美な装飾が目を引く兜でした。
そのイメージを再現できるよう心がけました。

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籠手は仕付袖となっています。

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【お客様写真その8】

こちらもご常連のお客様です。侍ネーム・美濃路様。こちらも打ち合わせ段階よりアイディアを存分に重ねた、桃形に唐冠形後立の兜、紋縅胴・袖、と籠手・佩楯の魚鱗札などこだわりのスペシャル感満載のフルオーダーをご愛用頂いております!桜の下、縹糸紋縅が引き立つ、華麗な武者振りですね♪

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【オーダー作品】黒田 官兵衛風 合子形兜と黒糸威具足

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黒田官兵衛(黒田如水)をイメージした合子形兜と黒糸に白檀塗りの胴の鎧です。

ご依頼主様のご意向で、現存本歌通りではなく、オリジナルアレンジしたデザインで御誂えいたしました。

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【オーダー作品】変わり兜「結城秀康公風唐冠形兜」

結城秀康(ゆうきひでやす)公の唐冠形(とうかんなり)兜を再現いたしました。
飛雲の脇立てがインパクト抜群です。

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しかも、脇立ては下図のように換装可能ご使用の幅が広がります!

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(写真の袖、喉輪も同時注文のお品です)